2008年06月25日

こんばっと・まぐなむ。

こんばっと・まぐなむ。
 貰い物第4弾・タナカワークス製S&W・M19 4inchでございます。
 もちろんペガサス。ABS製。

 要は「次元のマグナム」ですね。あと70~80年代の「アメリカのお巡りさん」ってイメージがあります。
 戦前どころか19世紀(1899年発売)の「ミリタリー&ポリス」から続く、S&W伝統のスタンダードサイズ・Kフレーム。大き過ぎず小さ過ぎず、本当に丁度いいサイズです。「リボルバーの中のリボルバー」ですね。こりゃー次元じゃなくても使いやすかろう、てなもんです。

こんばっと・まぐなむ。
こんばっと・まぐなむ。
 .44マグナムのNフレーム(M29)と.357マグナムのKフレーム(M19)を比べるとこんな感じ。同じ「マグナム」っても、この通り全然違います。逆に言えば、「次元のマグナムは実はそんなに強力な銃じゃない」って事ですね。必要十分な威力と取り回しの良さを気に入り愛銃に選択した……とか想像すると、流石だ次元!とか思えて来ません?

 ちなみに、Kフレームは元々.38スペシャル弾(いわゆる「38口径」、お巡りさんがよく使ってる弾)に合わせたサイズ。.38スペシャルをちょっと長くして強力にしたのが. 357マグナム弾なので、フレーム寸法自体はKフレームのままで対応できた訳ですね。
 が、そもそも最初の.357マグナム銃はNフレームのM27。あの大型フレームが必要だった強力なパワーを小さいフレームで受け止めようってんですから、当然無理が出る。つまりKフレームで.357マグナムをバカスカ撃ったりすると、強度面でちょっと不安があったのですね。(実際事故が多発した訳じゃないっぽいですし、あの訴訟社会で.357マグナム対応を謳って継続販売できた事からして、あくまで「不安」というレベルだったのでしょうが) それでもM27に遅れる事20年(1935→1955)、ようやくM19発売に漕ぎ着けたのは、ひとえに「小型の.357マグナム銃が欲しい」とみんなが望んでいたからに他なりません。
 必要なのは、Nフレームの強度と、Kフレームのコンパクトさ。
 S&W自身、M19については「結構無茶してるよなー」と自覚していたのでしょう。そこで1980年に登場したのが、.357マグナム専用の「Lフレーム」、M586/686でした。

こんばっと・まぐなむ。
 M586・3inch(MGCモデルガン)との比較。シリンダーの太さの違いに注目。Lフレームはゴツく逞しく、それに比べるとKフレームはかなりスリムです。
 要は、Nフレームをちょこっと広げて、より太いシリンダーを入れたものがLフレーム。これで心置きなく.357マグナムが撃てるぜ!という安心感、あとパイソンのパク(ryなフルレングスアンダーラグのカッコ良さも相まって目論見通りヒットし、ついにはパイソン、ひいてはコルト・リボルバーに止めを差してしまいましたとさ。

 ……が、時代の流れとは無情な物。
 90年代に入り、金属処理技術の発達により、.357マグナムが問題なく撃てる強度がKフレームでも確保できるようになってしまいました。どころか、今じゃさらに小さいJフレームでも堂々と.357マグナム対応を謳って販売されてたりします。すげーや。
 こうして、「Kで行けるなら、Lって何なのさ?」と一時微妙な存在になってしまったLフレームですが、大柄なシリンダーを生かして装弾数を増やしたいわゆる“7ショット”モデルに発展して生き残りを図っている最中。またコンパクトサイズに.357magの火力を得たJフレームは護身用として相変わらず販売好調。リボルバー自体が微妙になって来た事もあり、両者に挟まれて中途半端になってしまったKフレームが再び圧されつつある……というのが今まさに現在、リアルタイムの状況です。

 閑話休題。

こんばっと・まぐなむ。
 Kフレームって事でスリムなのはいいんですが、4inch銃身は「もう一声」って感じ。確かにカッコ的なバランスではベストなんでしょうが、ちょっとクラシカルなカッコ良さという気がします。今の感覚なら、せっかくフレームがスリムなんだしもうちょっとコンパクトだったら嵩張らなくていいのになー、って所でしょうか。

こんばっと・まぐなむ。
 トリガータッチはイマイチ。M29に比べてダブルアクションが妙に重いし、「チチバン」ができません。「チバン」になっちゃってます。シリンダーを回すハンドの動きが足りないらしくて、シリンダーロックと同時にハンマーダウンしてます。
 タナカのKフレームはどれもこんな感じらしいです。ペガサスでは最初期の設計なので、まだこなれてなかったって事なんでしょうね。

こんばっと・まぐなむ。
 そして妙に重いダブルアクションの元凶がコレ。フォーシングコーンがバネ仕掛けの可動式になってまして、シリンダーの穴に嵌り込むようになってます。リボルバーの構造上の欠点である、シリンダー/バレル間の隙間によるガスパワーの損失(これは実銃も一緒)を無くす狙いだと思いますが、おかげでシリンダー回転に余計な抵抗がかかるようになってしまってます。故にダブルアクションが重くなる、と。
 これもやっぱり、ペガサス初期故の試行錯誤だったんでしょうね。設計の新しいKフレーム以後、またKフレームでも後に発売されたモデルでは、スッパリ廃止されてます。
 トリガータッチ改善のため、フォーシングコーンを削る(性能は低下。アクションを楽しむなら良し)という手があるらしいですが、そこまではやらないつもり。とりあえず、ハンマースプリングのテンションをギリギリまで弱くして多少改善しときました。

こんばっと・まぐなむ。
 M29と同じく、パーティングラインばっちり。うーむ。

こんばっと・まぐなむ。
 ターゲットタイプのプラグリ。
 M29でも感じたんですが、手が小さ気味なのでターゲットタイプはちょっと太すぎて馴染まないです。
 じゃあ換えるか、と言っても、この4インチM19に合わせてカッコ良さそうなグリップがちょっと思い付きません。S&Wの長銃身リボルバー、特にM19と言えばグリップ込みでこのスタイル!って刷り込みがありまして……「これぞS&W」っていう。いっそ、ターゲットタイプの木グリか?しかし実はこれが難しい。タナカ純正やマルベリーはなかなか売ってませんし、S&W純正は何故か目が飛び出るようなボッタクリ価格。
 まー、このままでいっか……。
 あ、ちなみに親指乗せる所がM29のと形が違ってますが、これはスピードローダーに対応した形状だそうです。こっちの方が新しい形状って事ですね。詳しくはこちら。
 http://www7a.biglobe.ne.jp/~yon-yon/collection/others/sw_grip/index.html

 うーん、何だかネガティブな事ばっかり書いてるなあ。
 でも、気に入ってますよ。いやホントに。
 銃としてはすでに時代遅れでクラシックの部類ですが、言ってしまえばコルトSAAの境地に入りつつある存在だと思う訳ですよ。そういうクラシック故のカッコ良さ、銀幕のスターとしてのカッコ良さ、ってのがある銃だよなー、と。
 ま、カッコいいもんはカッコいいって事で。




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Posted by 水野。  at 05:06 │Comments(0)タナカワークス

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